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弊社の所在する県は、世界最大の原発が有ります。

今は停止して再稼動待ちなのですが、これに関しては賛否両論あると思います。

今回は、その議論は置いておいて、原発と参入障壁に付いてお話します。

「電力は完全自由化されたのに、新電力から見て参入障壁なんてあるの?」

「まあ、新規参入者は原発なんぞ手を出さないから障壁でもなんでもないけど?」

 

と言う方は多いと思いますが、そうではなくて原発によって給付される交付金で自由化に障壁が有るということです。

「原子力発電施設周辺地域立地給付金」という、財源が税金のれっきとした電源三法に基づいた補助金が有ります。

これは、毎年10月の契約電力規模(kw)に応じて企業や一般家庭に4,000円~10,000円/kwお金を支払うということで、結構な金額になります。住民によっては、電力会社が割引しているのか?と思うらしいですが、列記とした税金バックです。

名前から、地域対策?や企業立地・移住に有利になる様にという目的はわかります。

電力需要家が何もしなくても毎年電力会社が国に手続きを行って、電気料金振替口座に入金されるので楽ちんな補助金です。

ところが、新規参入電力会社にとってはその支給金で困った障壁が有ります。

支給には県や特殊法人の一般財団法人 電源地域振興センターが関わっていますが、下の図を少し見て下さい。

https://www2.dengen.or.jp/html/works/kyufu/

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センターは旧一般電気事業者には支払いを委託しているのですが、新電力会社は情報の共有とあります。

これは何でしょうか?

というのは、10月1日に契約電力kwが確定すると、旧一般電気事業者は立て替え払いで需要家に交付金を支払ってしまうということです。

ところが、新規参入電力会社の分は、センターがチマチマ確認しながら需要家に料金を支払うので時間差が出ます。

旧一般電気事業者は早ければ10月中に、電源地域振興センターは遅ければ3月になる場合が居多いです。

半年もお金の支給に差が有る!立派な障壁です。

まあ旧一般電気事業者は「お金が沢山有る!」というのが、委託先の必要条件でしょうが?

 

具体的に有ったお話を上げましょう。

当社が交付金の出ている市の工場のお客様に、新電力の見積もりを出しました。

年間電気料金2570万円に対して、31万円(1.2%)の値引ですということで、契約に至りました。

最初は良かったのですが、10月を過ぎてから雲行きが怪しくなります。

「毎年貰っている交付金は新電力に切り換えても貰えるという話なのにまだなのか?」と。

そこでセンターで確認したら、その遅れが回避できないことが判明し騒ぎに。

金額も契約電力500kw*4,728円=¥2,364,000ですからビックリ!!

新電力の値引きどころではない、中小企業の資金繰り悪化の原因の話になってしまいます。

 

しかも原発立地市町村だけでなく、周辺市町村も交付対象なので、気を付けないと沢山の新電力のお客様がお金を手に入れる期日を遅くしてしまいます。

http://www.pref.niigata.lg.jp/sangyoritchi/1356849602956.html

 

話を総括すれば、センターの補助金の支給は早いに越したことはないのですけれど、規制緩和の分野で大企業と取引している需要家優先の制度として残っていれば問題です。

公平性から言えば、全て3月支給にしてほしいのですが、中小企業にはつらい所です。

これを「原発モラルハザード」と言ってしまいそうですが、そういう点では経営者の判断を狂わせてしまう原発は新規参入者からすれば嫌な存在です。